FRP貯水タンクの外部の劣化現象

FRPパネルタンクは比較的屋外に設置されることが多く、劣化の度合も屋内設置のものと比べて進行するのが早くなっています。
劣化が進行するとFRPパネルが変色・退色して行きます。さらにFRPの補強母材のガラス繊維が露出してキラキラ光って見えてくるようになります。

劣化が進行してガラス繊維が露出しているFRPパネルの表面

要因としては、FRPを構成するポリエステル樹脂は、太陽光線中の紫外線や熱・風雨等の作用で活性化し、樹脂は酸素と結合して不安定な化合物を形成します。この反応が繰り返されて劣化は進行して行きます。
さらに酸性雨で加水分解が発生したり、冬季にFRPに付着した水分の凍結でも劣化がさらに進行します。
FRPのポリエステル樹脂が劣化しているのは、FRP表面を触るとチョークの粉が付いたように指に白い粉が付きます。
これをチョーキング現象と呼び劣化しているのを目視で確認できます。

劣化で白い粉が指に付くチョーキング現象

さらに劣化が進行するとFRPパネル内部のガラス繊維がキラキラ光って見えてきます。ガラス繊維が露出して、風が吹くだけで空気中に飛散して行きます。こうなると点検や貯水タンク清掃の時に人の皮膚に付着すると毛穴に入りチクチクと痛みます。当然FRPのパネルの厚みも薄くなって行くので強度が低下し、上に乗るとフワフワした感じになります。また弾力がなくなりますので下手すると上に乗るだけだFRPパネルを踏み抜いたりします。

劣化した天井部FRPパネルの踏み抜き

この写真では、全体にガラス繊維が露出していますが、取出し口をハンドレイアップ、つまり手作業でFRP樹脂ライニングしている部分は、あまり劣化していません。FRPパネルタンクはプレス成型で品質を一定に保つためにポリエステル樹脂の他に炭酸カルシウム等を添加して製造されています。つまりFRPパネルタンクはその性質上ハンドレイアップで積層されたFRPに比べ劣化度合が著しい訳です。

FRPパネルタンクはその構造上、水圧で外に開こうとするタンクの応力を天井部自体で支えているものがほとんどです。さらに古いタンクは経年で劣化し、強度が低下しているので地震のスロッシング現象に耐えられなくて破裂したりします。

特に天井部は側面部のFRPに比べて軽く作らないと行けないので、板厚が薄く強度も落ちるので、外部天井部FRP樹脂ライニング工事で補強する必要があります。

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