2009年 2月 の投稿一覧

工場の工業用タンクの補強工事 パート4

さて、この工業用タンクの補強・補修工事もいよいよ仕上げです。

水槽内部の底・側面部はガラスマット3枚積層したFRP樹脂ライニングが施されています。
天井部は外部からガラスマット2枚積層したFRP樹脂ライニングが施されています。

FRPは先にも述べました様に、太陽光線中の紫外線と熱や風雨で劣化します。
タンク内部は太陽光線が当たらないので大丈夫ですが、タンク外部は紫外線で劣化しない様に保護コーティング(塗装)を施す必要があります。

新たに積層したFRP樹脂は完全硬化した後に透明になります。
旧の劣化したFRP面が透けて見えてしまいます。

美観的にも外部劣化防止コーティング工事を施します。

ローラーで丁寧に貯水槽専用コーティング塗料リユースTコートを塗って行きます。

ローラーで塗れない部分は、大小の刷毛を使って塗り残しがない様にします。
この作業を2回繰り返します。

リユースTコートは、その強力な塗膜で汚れを寄せ付けず、藻やカビの発生を防ぎます。
また太陽光線を遮断するので、FRPタンクが劣化するのを強固に防ぎ、さらには夏場であってもタンク内部の水温が上昇することもありません。

側面も見違えるように美しくなりました。
これで強度は新品以上に、さらには外観も新品の様に生まれ変わりました。

工事期間中お立会頂いた、こちらの会社の専務様にもたいそう喜んでいただきました。

「工場は特殊な工業用タンクがたくさんあって、困ってるところも沢山あるよ。だから、もっとしっかり宣伝しないといけないよ!」
って激励も頂きました。

工業用貯水タンクでお困りの方、お電話下さい。
もちろんビル・マンションの飲料用貯水タンクでお困りの方も。
全力で補修・補強させていただきますヽ(^o^)丿

フリーダイヤル0120-109-513(タンクの恋さ)

工場の工業用タンクの補強工事 パート3

内部の補強が終わり漏水も完全に止まりました。
次はいよいよ外部の補強と補修です。

特に外部の天井部は太陽光線中の紫外線や熱・風雨で劣化してFRPの補強母材であるガラス繊維が露出・流出しています。
FRPの板厚が薄くなり、天井部はベコベコで点検等で上に乗ると踏み抜きそうになります。

1リットルの牛乳パックの上の部分を切り取り、水を入れて上から見ると四角い牛乳パックが丸くなろうとする様子が見られます。
貯水タンクも同様で四角い水槽に水を入れると、その水頭圧(ヘッド圧)で丸くなろうとする応力がかかります。
天井部はこの応力を支える役目を果たしており、その強度が落ちれば天井が裂けて最終的にはタンクが破壊すると言う事態になります。

強度が低下した天井部には外部天井部FRP樹脂ライニング工事を施します。
まず天井部にプライマー(接着剤)を塗布します。
次にガラスマットを置きルーラーでポリエステル樹脂を含浸(ガンシン)させて行きます。
この作業を2回繰り返し、ガラスマット2枚積層のFRP樹脂層を作ります。

ガラスマットの積層の間にはどうしてもエアー(気泡)が溜まるので脱泡ローラーで丁寧に空気を抜き接着して行きます。

外部天井部FRP樹脂ライニング工事完了後です。
天井部に新たに2mm厚程度のFRP層が出来上がり大幅に強度がアップしました。
上に乗ってもビクともしません。
内部は底・側面とも内部からFRP樹脂ライニングが施してあるので、これで貯水タンクの6面共に補強されたことになります。
強度も大幅にアップして新品よりも強くなっています。

あと貯水タンクの付帯部品を取付または交換します。
貯水タンクには必ず通気管が必要です。
通気管の役割は水槽内の水位の上下に伴う空気の流入出のためにあります。
丈夫な傘で雨が水槽に入らないように、また開口部には細かい網が付いていて、ゴミや虫が入らないようになっています。
当初この工業用タンクには通気管が付いていませんでした。
しかし万一この水槽内部に大きな負圧がかかる場面があればと考えると通気管は必要です。
地震によって水槽が左右上下に揺れた時、水面が大きく揺れスロッシング現象(液面揺動)が起き、水槽が破壊されます。
このスロッシング現象に対しても通気管の設置は有効です。

マンホールのパッキンも劣化していましたのでPTSマンホールパッキンに交換いたしました。
これも劣化したままだと水槽外部からの異物が浸入する恐れがあるので交換が必要でした。

水槽内へ水が流入して定水位で止まるようにするボールタップも交換します。
当初付いていたのは単式のボールタップ(写真の上)で少し水位が減っただけで水が入る構造です。
これだと水面が若干揺れただけで水が入ったり止まったりして配管への負担も大きくなります。
今回は複式の水位差式のボールタップに交換しました。
ある一定の量が減らないと水が流入しないので水面の揺れにも影響されず、動作回数も減るので配管にも負担がかかりません。

取替したところです。
これで工業用タンクの付帯部品の取付・交換も終わりました。

これで強度的にも機能的にもまったく新しいタンクに生まれ変わりました。

いよいよ最終仕上げになりますが・・・次回パート4に続きます。

工場の工業用タンクの補強工事 パート2

工業用タンクの内部にFRP樹脂ライニング工事を施します。
まずFRP表面を脱脂して、PTSサプライマーを施工面全体に塗布します。
このタンクは内部全面(天井部は除く)にFRP樹脂を貼り付けます。

500mm幅にカットしたガラスマットにポリエステル樹脂を含浸(ガンシン)させて行きます。
この作業を三回繰り返してガラスマット3枚積層のFRP樹脂層を形成します。
1層大体1mmの厚みがあり、3枚積層することで約3mmの厚みのFRP層が形成されます。

この様に平面でない部分も曲がり角度が90度程度であれば、その形に沿ってFRP樹脂を貼り付けて行きます。
下地処理に、PTSサプライマーが塗布してあるのでタンク内部のFRP面とFRP樹脂とが分子構造で結合し完全密着して行きます。

内部全面FRP樹脂ライニング工事が完了しました。
水槽内部にもう一槽FRPのタンクを作りこんだ複合構造のFRP一体型タンクに生まれ変わりました。

内部に3mm厚さのFRP層で補強されていますので、タンク強度は新品の時よりもアップしている筈です。

屋外設置されているタンクは、設置後15年以上経過すれば、初期強度から概ね30%程度、強度が低下します。
例えばパネル組立式FRPタンクのFRP板の初期強度は引張強度で10mpa/c㎡程度あります。これが15年経過すると約70%の7.3mpa/c㎡まで低下します。

この引張強度が低下したFRP板に今回の工事と同様のFRP樹脂ライニング工事を施すと12.5mpa/c㎡まで強度が回復します。
これは初期強度の125%になり、結果として新品より強くなるわけです。

内部全面FRP樹脂ライニング工事が完了したタンクの内部に補強材を戻します。

これで内部の工事は完了です。
水槽内部にもう一槽FRPのタンクを作りこんだ複合構造のFRP一体型タンクなのでもう漏水する心配もありません。
漏水を止めるばかりでなくタンクの強度も新品より強くなりました。

でも天井部は内部から補強していません。
天井部はなにもしないのかと言えばそうではありません。
天井部もタンクの構造上、非常に重要な役目を果たしていますので補強が必要です。

天井部の補強と付帯消耗部品の交換は、パート3に続きます^^