2011年 8月 の投稿一覧

コンクリート製貯水タンク(RC製貯水槽)の鉄筋露出部分の補修方法

コンクリート製貯水タンク(RC製貯水槽)の内部天井部の鉄筋露出部分の補修方法です

天井部のコンクリートモルタルのかぶりが少ないと内部の鉄筋が塩素ガスによって腐食し膨張します
鉄筋が膨張するのでコンクリートモルタルが剥がれ落ち貯水に落下してしまいます
このまま放置すれば腐食が進行し錆片・錆汁が貯水に落下して衛生上良くありません

まず電動サンダーで鉄筋周りをV字にカットします
鉄筋の錆を取り除くのと鉄筋周りの劣化したモルタルを取り除きます

完全に露出した鉄筋には錆止めを刷毛で塗布します

樹脂モルタルで埋めていきます
しっかりと樹脂モルタルを充填した後はコテで平滑に仕上げます

モルタルは短時間(5分程度)で固まる特殊な樹脂モルタルを使用します

側面部なども同様のクラック(ひび割れ)があれば同じ手順で補修します

コンクリート製貯水タンク(RC製貯水槽)の補修方法

劣化したコンクリート製貯水タンク(RC製貯水槽)は危険がいっぱいです

ではどんな補修方法があるのでしょうか?

エポキシ樹脂ライニング工法

エポキシ樹脂ライニング工法がその代表となります

コンクリート製貯水タンク内部全面にエポキシ樹脂を刷毛・ローラー・コテで塗装します
エポキシ樹脂が劣化したコンクリート躯体に密着し、耐水性に優れた強固な塗膜を形成します
塗膜の防水でコンクリート躯体の中性化や水の浸入を防ぐので、飲料水を安全で衛生的に保ちます

しかしながらエポキシ樹脂ライニング工法ではコンクリート製貯水タンクの強度の復元にはなりません
非常に強固な塗膜をタンク内部に形成しますが、あくまで塗装であり補強にはなりません

FRP樹脂ライニング工法

当社が自信を持ってお勧めする工法がFRP樹脂ライニング工法です

コンクリート製貯水タンク内部全面にガラスマット3枚積層(3プライ)によるFRP樹脂ライニング工事を施します
内部天井部は水圧の負荷がかからないので1プライもしくは2プライのFRP樹脂ライニングを施します

FRP樹脂ライニング工法はコンクリート製貯水タンクの躯体を利用したもので、タンクの内部にもうひとつのFRP製タンクを形成する複合構造体になります
ですからコンクリート躯体の劣化を防ぐばかりでなく、コンクリート製貯水タンクの強度をアップさせ、しかも完全防水なので外部からの汚水の浸入等もシャットアウト、飲料水を衛生的に護ります

コンクリート製貯水タンク(RC製貯水槽)の劣化現象

コンクリート製貯水タンク(RC製貯水槽)の劣化要因について

コンクリートの主材料はセメントです
コンクリートとはセメントと骨材(小石や砂)を混ぜそれに水を加えて固めたものです
コンクリートは水を加えて固めた時点でPH=12.8程度の非常に強いアルカリ性を示します
(PH=7.0を中性と言い7.0以下を酸性 7.0以上をアルカリ性と言います)

コンクリート製貯水タンク(RC製貯水槽)の場合コンクリート面が絶えず中性の水道水中にあります
長い年月の間に次第にこのコンクリートのアルカリ性が中和されてPH=7.0に近づきます
これをコンクリートの中性化と呼びます

水中部分のコンクリートの荒れやひび割れの発生

中性化によってコンクリートが直ぐに崩壊すると言う訳ではありません
まずは防水のために塗られた防水モルタルが徐々に剥がれ落ちコンクリート内部に水が浸入するようになります
コンクリート内部に水が浸入するとある種の骨材(小石や砂)が水と触れる事によって化学反応(アルカリ骨材反応)を起こし膨張しコンクリートにクラック(ひび割れ)が発生します

クラックからの地下水の浸入

アルカリ骨材反応により小さなクラック(ひび割れ)が発生しより多くの水がコンクリート内部に浸入すると今度は内部の鉄筋が錆びる事になります
PH=10以上では鉄筋は錆びません
鉄筋の発錆による膨張でさらにクラック(ひび割れ)が大きくなり さらには漏水の発生 遂にはコンクリート躯体の崩壊につながります